ライダーが誰か、スーツ姿の男と向かい合っている。

サーヴァント、ではない。

魔術師、ですらない。

そんな只の人間の拳が、ライダーを捉える。

その拳撃に意味はない、筈。

神秘を持たない拳でサーヴァントにかすり傷すら負わせられない、筈。

なのに、どう、とライダーが倒れる。

それを見て、僕はひとつ舌打ちをする。

悲しみも同情もなく、只侮蔑のみを込める。

「この―――役立たずの大嘘つきめ」

「ライダー」

「ああ、おはようございます、シン」

「あー、うん、おはよ。―――あれ、私が最後?」

 見回せば私以外の全員の布団が既に片付けられている。もぞもぞと起きだしてあくびをひとつ。随分寝ざめが悪い夢を見たような気がするが、夢は夢だろう。あまり気にしてもしょうがない。

「皆、朝は早いようで。あと十分もすれば朝食ですので顔を洗って着替えてきてください、とサクラが」

「はいはい。あ、ライダーもう少しこっち」

「はぁ」

 首をかしげながら近づいてきたライダー抱きつき、力の限り抱きしめる。

「シン、どうしました。怖い夢でも見ましたか」

「ライダー、ライダーは私のサーヴァントよね」

「はい」

「私がライダーを信じる限り、ライダーは最強、よね」

「はい」

「ライダーは私から離れない、よね」

「はい」

「ん、顔洗ってくる」

「お早く」

 瞼をこすりながら洗面台に向かい顔を洗う。ぬれた顔を拭き鏡を覗き込むと、ずいぶんと穏やかになった顔の私がいた。こういう顔をするのは久しぶりな気がする。おそらくだが、三日前はこうではなかっただろうし一月前はきっと酷い顔をしていた。

「ああ―――嫌だ嫌だ」

 たった二日だというのに、この家の無条件で幸せな空気に染められていく。

 まったくもって反吐が出る。

 ソレはなにより私が嫌いなモノなのに。

 こうじゃない。私は、間桐慎はこうじゃない。

 なのに、だというのに、それなのに―――

 濡れたタオルを駕篭に放り投げて着替えに向かう。もう鏡は背中なので分からないが今の私は多分、唾を吐きかけたくなるくらいに笑顔なのだと分かった。

 やっぱり微妙な緊張感をはらみつつ朝食を食べ終え登校する段になって衛宮が朝食の片付けをするため先に行ってくれと言いだした。

「まぁ、今日今から謝れとは言わないけどさ。少しは歩み寄っておいた方が後々やりやすいだろ?」

「だからっ!それは全部終わってからの話でしょ?!大体桜と二人きりなんて、絶対手出しちゃうわよ……!」

「だから妹に手を出すな。我慢しろ。それに藤ねえも一緒なんだから変なことしようとしてもできないって」

「ぐぬぬ……」

 それでも渋っていると玄関の方から「間桐さーん、おいてっちゃうよー」と頭痛がするほど気楽な声が響いてくる。ほらほらと、衛宮に廊下まで押し出される。

「こんな早く行ってなにしろってのよ……」

「そうだな、桜をさぼらせて一緒に時間でもつぶしたらどうだ?」

「だ・か・ら……!」

「間ー桐さーん」

「観念しろって。慎も大概往生際悪いな」

 仕方なく桜、藤村と並んで歩きながら道程の中ほどまで来たところで唐突に藤村がクルクルとまわりズビシとこちらをさしてとまると奇声をあげた。

「藤村せんせーの質問コ〜ナ〜。いいかな、間桐さん」

「なんでしょうか、藤村先生」

「桜ちゃんとケンカしてんの?」

「いいえ、一体何をいっているんですか。ねえ、桜」

「え、あの……」

「桜?」

 今までの緊張感もあって口ごもる桜に若干苛立ちを覚えながらせかすように名を呼ぶと藤村が「ブッブー」と大きく腕でバツを作る。

「只今は桜ちゃんのターンなので間桐さんに発言権はありません。で、どうなのかな?お姉ちゃんにこっそーり教えてくんないかな」

「ケンカなんて、してません」

「証拠の提示を被告人に求めまっす!」

「証拠って、あの、なんですか」

「お手手でもつないでもらおうかな、シスターズ」

「―――はい?」

「え……」

 

「で、つないだのか」

「繋がないわよ、バカなの?ねぇ衛宮、バカなの?お味噌が耳からこぼれ落ちたの?すっころんで内出血でも起こしたの?バターでも詰まってるの?ねぇ衛宮!ちょっと衛宮!?聞いてるの!逃げるな!」

 

 学校に来ることは承諾したものの流石に部活はしばらく休む、ということでその旨を美綴に伝えるために衛宮を先に帰らせ、弓道場に向かった。美綴を呼び出し用件を伝える。

「生理がきついからしばらく休ませてもらうわ。まあ、私が来なければ男子の大半も来ないでしょうけど頑張ってね」

「あいつらはやる気がないからいても邪魔なんだけどね。―――なぁ、間桐よ。覚えているか、春頃入ってすぐやめた一年の男子」

「さぁ?何でそんな根性無しのこと私が一々覚えてなきゃならないの」

「―――あれはお前が晒し物にしたからだ」

「そうだったかしらね」

「ああ、的中するまで取り巻き連れてげらげら笑ってたろ」

「ふぅん。忘れちゃった、そんなこと。それで?今その話をすることに何の意味があるのかしら」

「意味はないさ。ただな、昨日の朝話したことも含めてお前は射形以前に直すべきところがあるなって話だ」

「美綴に言われる筋合いは」

「あるね。私は部長だ。部員の面倒を見る義務がある。いいか、弓道に限らず剣道柔道合気道、武道は須く精神鍛錬のためにあるべきなんだ」

「見解の相違ね。私は武術は須く人殺しの予行演習であるべきだと思っているわ」

「そうか―――私はお前が大嫌いだ。正直お前と話してると沼の泥を飲まされている気分になる」

「そう―――私もあなたが大嫌いよ。正直あなたと話してると砂漠の砂を噛まされている気分になるわ」

 言って別れて、ふと思う。

 人間一人分の魂でライダーはどの位回復するのだろう、と。

 全校生徒と一人の学生。

 この程度でも衛宮を裏切ったことになるのだろうか。いや、衛宮ならきっと騙しきれる。なにしろ、アイツを利用した奴を社会的に葬った時もアイツはおろか誰も気づかなかったじゃないか。そうだな、いっそ半端に吸って噂を流すのもいい手かもしれない。

 ああ、良かった。これでライダーの魔力不足も私をイラつかせる問題も解決される。

 弓道場を出たところで遠坂に会った。というか、待ち伏せされていたらしい。

「ちょっと、いいかしらね。間桐さん。時間はとらせないわ」

 衛宮は今どこら辺を歩いているのだろう。もう家に着いた頃か?なら、セイバーがいるし急いで後を追うこともなかろう。遠坂はこちらの事に気付いていないはずだし、用は桜のことか。

「間桐さん?」

「いいわよ。すぐすむんでしょう?」

「ええ、じゃあこっちへ」

 言われて弓道場近くの雑木林に向かう。

 これは……少しやばいか?

「さて」

 振り返った遠坂の横には赤い―――騎士が。そうだ、あれは遠坂のサーヴァント。クラスはともかく英霊の一騎。そう、私に分かるのはそこまでだ。正体なんて、思いもよらない。

「まさか、あなたと衛宮君までマスターとはね」

「何を言っているのかしら?その男はサーヴァントのようだけど、すると戦争はもう始まっているのね。せいぜいがんばって生き残りなさい」

 ―――お前は私が殺す

「白々しい。昨日の晩あの後、私たちは衛宮君の家での戦闘を見てるのよ」

 焦りを顔に出さないようにする。―――できたか?

 そうか、そういうことも、あるか。

助けた相手がその日のうちにまた殺されぬように護衛するなんて、理には適っていても間尺に合わない。だが、衛宮を生き返らせるなんて無茶をした程ならその程度、予想に入れておくべきだった。

「こんなことならあの場で二人とも首をはねておくんだった。とにかく慎、あなたがどんな裏技を使ったかは知らないけど、即刻降りなさい」

「ハン、何を。せっかく魔術師になれたのに」

もはや隠していても始まらないと観念して遠坂から距離をとる。しかし遠坂はそんな私に聞きわけのない子供にそうするようにむしろ優しく語りかける。

「―――ああ、あなたは分かっていないのね。魔術師は成るものじゃなくて生まれつくものよ。あなたはつまり魔術師に生まれつかなかったっていうこと」

「ライダー、遠坂を殺―――」

 言い切る前に、ライダーが遠坂の、ではなく私の目の前に現れた。同時にバキンと音をたて、ライダーの体にあたった何かが砕け散る。あれは、ガンド。遠坂の―――魔術。

「対魔力か―――ふん、慎、あなたは私を殺す気なのね。上等よ。ええ、今この場であなたを魔術師と認めましょう。魔術師が二人、サーヴァントが二騎。人払いの結界は万全。この状況なら―――殺し合いよね」

 そして、遠坂の左腕に魔術刻印が浮かび上がる。

 あれが遠坂の歴史。

 私には受け継がれなかった証。

 当主の証。

 魔術師の証明。

 ――――見せつけるな

「ライダー!」

 ライダーはこちらを離れずに釘剣を二本、遠坂に向かって投擲する。一本は直線的に、もう一本は鎖をうねらせやや回り込むように遠坂のサーヴァントの逆側からそれぞれが迫る。が、正面から迫る釘剣はガンドに、横から回り込んだ釘剣はサーヴァントにそれぞれ防がれる。サーヴァントの手には白黒の剣が二振り、形状からすると大陸系のようだが、あれはそちらの英雄か?いや、それにしては衣裳がアンバランスだ。いや、剣?

 まて、セイバーは、剣の英霊は衛宮に。ではこいつの主たる武器は何だ。セイバーでなくライダーでなくランサーでなくバーサーカーでなく――――

「―――く」

「さて、ゆくぞ。ライダー」

 引き戻される釘剣とともにサーヴァントが迫る。

昨晩の再現。

ライダーは私を守るために動けない。

迫る剣劇にライダーは防戦一方、傷がどんどん増えていく。当然だ。こんなものライダーの戦い方ではない。こんな戦闘は本来セイバーの領分なのに。目の前のライダーの腕が首が肌が切り刻まれ、肩から剣が生え腰から剣が生え、ついに膝をつく。その向こうに見えたのは、屠殺人のようにこちらを見ている赤い騎士。そしてその向こうでつまらなそうに、呆れたようにこちらを見ている遠坂が――――いない。

「はい、死んだ」

「―――あ」

 声は後ろから聞こえた。

 首筋に充てられる指先。

 収束する遠坂の魔力。

 一秒先の未来。

――――怖い。

 そうだ。昨日の晩味わった。

 死ぬのは、とても怖いことだ。

「ひ――――う」

「これは前言撤回かしらね。やはり、あなたは魔術師ではないわ。殺す気はあっても殺される覚悟はないんでしょう?」

「う―――ぐ」

 なにも、答えられない。そんな私に遠坂は静かに問いかける。

「一つ聞いてもいいかしら。学校の結界はライダーが形成したの?」

「―――結、界」

 結界。結界。結界。鮮血神殿。効果は、なんだ。思い出せ、思い出せ、思い出せ。

「そう、あの悪趣味な結界。あなたは生徒達を人質にでもするつもりだったの?」

「―――は、そう。その通りよ。今この瞬間からそうなったわ。ライダー、私が打たれたら発動して逃げれるだけ逃げなさい」

「何を―――!」

「ライダーの単独行動は持って一日。でもね、その間に結界の中はどうなるでしょうね」

「ぬ―――」

「わかったらその手を退けなさい」

「魔術師が、それで引くとでも?」

「魔術師だからよ。魔術の基本は秘匿隠匿、でしょう?それ以前にあなたは遠坂凛じゃないの」

 これで、なんとか切り抜けられる。一端距離をとれば逃げ切れる。そんな心算を講じていると赤い騎士がこともなげに、何かを言った。

「ふむ、では先にライダーを始末することにしよう」

 そういって、ライダーの首に剣をあてがい―――

「なぁぁぁっぁああああにやってんだぁあああ!そこぉぉぉぉぉおおおおお!!」

「衛宮!?」

「シロウ!」

「衛宮くん?!」

「ぬ……」

 いきなり走りこんできた衛宮は一瞬気を取られた遠坂と私の間に入り込む。

 赤い騎士は一瞬ライダーと衛宮どちらをとるかで出遅れた。

 なんだよ、衛宮。このタイミング。この登場。この状況。

なんだよ、まるで、正義の味方じゃないか。

「遠坂……、何を、やっているんだ」

「戦争中に魔術師二人がやることなんてきまってるでしょ―――アーチャー、剣を引きなさい」

「しかしな、凛」

「引きなさい」

 言われて渋々、いつの間にか私たちの首に突き付けていた右の剣を引き、ライダーの首筋にいくらか食いこんでいた左の剣を引いた。ライダーが気を張りながらも立ち上がり荒い息も直さぬまま私たちの背中を守る形でアーチャーと対峙する。対するアーチャーは手にしていた双剣もいずこかに消し、戦闘態勢を解いて腕を組んでいる。

 遠坂は衛宮と私を品定めするように見た後、

「そこが貴方の立ち位置ってわけね、衛宮くん」

「―――俺は誰も死なせたくないんだ」

「あ、そう。でもこれは戦争よ。戦争は人が死ぬものなの」

「でも、遠坂は俺と慎を助けてくれたじゃないか、今」

「それは―――まぁ、衛宮くんのサーヴァントが何処にいるかもわからないし」

 遠坂は横を向いてぶつぶつ言っていたがふん、と息を吐いて

「でも、よく見つけられたわね。結構自信があったんだけど」

「実は今の今まで迷ってたんだけどな?」

「なら、後一分迷っていれば良かったのに」

 遠坂はそう言うと、アーチャーに歩み寄り再び私たちと向かい合う。しかしその表情に焦りはまるでない。未だに自分の優位を疑わないその顔に無性に腹が立つ。

「慎、結界を解きなさい。今はそれで見逃してあげる」

「ふん、2対1で勝てるつもり?衛宮のサーヴァントのクラスを聞いて驚くんじゃないわよ」

「セイバーでしょ?知ってるわよ。あなた達、私がいままで紅茶でも飲んでたと思ってるの?偵察は粗方済ませてあるわ。当然、昨日の晩のバーサーカー戦もね。衛宮くん、あなた吸血種か何か?今日見た時はホント驚いたわ」

「む、見てたなら助けてくれてもよかったじゃないか」

「だから戦争だっての、これは」

 はぁとため息をついてから

「どっちにしろこの状況でまだ現れないってことはそっちも斥候か何かで別行動とってたのを呼び戻してるところでしょ?」

 いいえ、お留守番してたところを呼び出しました。

「だったら、あなた達を殺すことも難しくはない。で、提案なんだけどね、衛宮くん。私と組まない?あれだけの回復魔術が使えるなら是非」

「慎もいっしょってわけにはいかないのか」

「私、そいつのこと個人的に嫌いなのよ。なにより脊中を預けられない仲間なんて」

「なら断る。俺は先に慎と組んだんだ。それに裏切らないとも約束した」

「あっそ、ちょっと残念。じゃあ、慎、結界を解くか首をはねられるか、選びさない」

「―――ライダー」

 ライダーは頷き少し校舎の方を見てすぐに視線を戻したが、これで終わったのか?

「うん、結構」

「お、確かになんか感じが変わったな」

 衛宮は、分かるのか。

「じゃあ、次はないわよ――――」

 言って去ろうとした遠坂にしかし、アーチャーは動かなかった。

 そして、ライダーをみて口を開く。

「腕一本、というところか」

「は?アーチャー、何言ってるの」

「いやな、この程度で見逃すのはぬるい、と言っているのだ。見逃す対価として腕一本くらいは置いて行けと、そう言っているのだよ。なに、自分自身とマスター、同盟相手の命三つに対して腕一本。破格だと思うが」

 アーチャーがそう言い終わる前にライダーが自分の左肘に手をそえ、肘から先を捩り切った。 ブチブチと、筋肉や神経や血管や骨を、ただ力のみで、引きちぎっていく。

 それは、どんな痛みなのか。

 ぼたぼたと血が地面を赤く塗らす。ミチミチと食い込んだ指が肉を裂く。ゴリゴリと骨がこすれて不快な音を立てる。

 サーヴァントにだって痛覚はある。なのにライダーはうめき声一つ漏らさずに自分で自分の腕を力任せに引き抜こうとしている。

かみしめた歯が砕け口元から血がこぼれたあたりでようやく腕が離れた。

「ら、ライダー!な、なに、を。何をしてるの!?私はそんなこと命令してない!してないのに!」

 ライダーは脂汗を浮かべたまま捩り切った左腕をアーチャーに投げて渡す。アーチャーは受取り、ふむと唸ってから

「それでは痛かろうに。痛みを感じぬように切ってやることも出来たのに」

「―――早々に去りなさい。弓兵」

「そうさせてもらおう―――行こうか凛。ここにいては後が怖い。顔が蒼いな。どうしたね、誰かが死んだわけでもあるまい。たかが腕一本だ。我々はつまるところこういうことがしたいんだろう?殺したり殺されたり死んだり死なせたりとはこういうことだろう?」

「アー、チャー?」

「ああ、別に何でもないさ。そう、なんでもない。ただ、戦争の体験者としてな、この程度で殺し合いを気取るなといいたいんだ」

 体験者。英雄というのはつまり―――

「それは、随分と英雄らしからぬ言い草ですね。いえ、らし過ぎるというべきですか。あなた達は結局、一国を滅ぼすほどに人を殺してきただけでしょう?」

「その通りさ、神になるには少し足りなかったがね―――話し過ぎたな、それでは今度こそおさらばだ」

 いって、弓兵は遠坂を抱えてその場から去った。

 気が抜けその場にへたり込みたかったがその前にライダーだ。

 顔が青ざめ呼吸は荒いものの意識を失うほどではないのかライダーは私の頭をなでながら

「そんな顔をしないでください。言ったでしょう。私はあなたを守るために居るのです。あの場はこれで切り抜けるほかは無かった。それに私も英霊の端くれです。この程度では致命傷になりえない」

「でも、あと少し引き延ばせれば、セイバーが……」

「あの弓兵はそこまで気長ではないでしょう?ああ、それにしてもすいません。シロウ、シン。せっかく頂いた血もこの分ですべて消費してしまいそうです」

「いや、そんな事はいいんだ―――なぁ、ライダー。その傷は、その、俺がお前を抱けば早く治るのか?」

「え?は、ええ。それは、そうですが―――シロウは私のように大きい女は嫌なのでは?」

「いや、俺がじゃなくてライダーはどうなんだ?」

「私は、シンの許しさえあれば」

「―――何で私が出てくるのよ」

「いえ、私、てっきりシンはシロウのことを好いているのかと。違ったのですか?」

「ないない。私たち友達だもの。ねぇ、衛宮」

「そうだけどね。そうなんだけどね。年頃の男の子としちゃーねー……」

「なんでいじけてるのよ」

 変な衛宮。ふむ?

 ともあれ、これで遠坂には私怨がまた一つ増えたな。

「ライダー」

「はい?」

「左腕の借りは億倍にして返させてあげる」

「―――はい」

 

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